非生産的座談会

会長、副会長、書記はと麦

【日記ではない】おもちゃを壊して遊ぶあなたへ

  もう無理だよ、という声が聞こえる。ような気がする。私は聞こえないふりをして目の前のゲームを淡々と進める。もう一度もう無理だよと聞こえる。ちょっと待って今いいところなんだ少し黙っててくれないかな。

 一口食べたら甘ったるくて嫌になってしまったけど、食べ物を残すのは良くないなと思ってジュースを飲むようにカップを直接口につけてプリンを飲み込んだ。ほらやっぱり甘過ぎる、と思いながら空いたカップをゴミ箱に投げた。もちろん入るわけがなかった。カップはまだ床に転がったままだし、少し残っていたプリンが床についてしまっていることに私は薄々気付いている。きっと明日朝起きてカップを踏んで痛がることになるんだろう。分かってるけど今は片付ける気分じゃないから一晩はそのままでいてもらう。明日の私、いやほんとごめんな。

 ね、やっぱ、無理なんじゃないかな、と思う。思うのは私だけど私じゃなくて結局私。何が無理なのと聞いてみても困ったように笑うだけだから私はこいつが大嫌いだ。こっちが必死に考えないようにしていることをこうやって平気で言ってくる。デリカシーがないのかな、まあ私だからしょうがないかもな。

 無理なんじゃないかな、という言葉で私の口がいっぱいになるので耐えきれずほう、と空気を吐く。別に言葉にして呟くわけじゃないけれど、口の中のぬるい空気が抜けるだけで安心できることもある。今までずっと暖房を入れたままだった部屋の空気を入れ替えるようなそんなかんじ。何が無理なんだろう、いや分かってるよ、なんだか苦しくてそれに耐えるのが無理なんだよね。で、どうしてあんたは苦しんでるの?

 やっぱり困ったように笑うだけでああこいつほんと使えねえなと思う。でも私はこの子が実は私にとってとても大切であることを知っている。だからいなくなれとは思わないしできるだけ話は聞いてあげたい。嘘、話はできれば聞きたくない。でもしょうがない、あなたおしゃべりなんだもんね。

 ゲームをやりすぎて目が霞むようになってきた。遊んでいる間だけ私は何も考えずに済む。今までにいろんなおもちゃでそれが壊れるまで遊び尽くしたけど、おやとうとう自分の体までおもちゃ扱いかと感心する。いやそうじゃない、なんだか気付いたらそうなっちゃってただけなの許して。いやいやそれは許せないよ、という声が聞こえるような気がする。

 私は大切なものを大切にすることはつまりそれを壊すことだと思っている。一つの傷もつかないよう丁寧に丁寧に使うのは、大切なものじゃなくてきれいなものだ。ボロボロになって、壊れて、使えなくなって、それで初めて大切にできたと安心する。でも本当はそうじゃないことも知っている。

 もう無理だよ。うんそうだね私もう無理だ。大切にすることは壊すことじゃないよ、自分のこと大切にするんでしょ。うんそうだね大切にする。どうすればいいかわかるよね。ううんそれはわかんないの。

 使えないとか言ってごめんね。とりあえずゲームはしばらく控える。